冬のかがり火

学習の音楽

こんにちは。ムジークです。

今日は、鑑賞教材として、

プロコフィエフ作曲「冬のかがり火」から第1曲「出発」

を提案します。

この曲は、あまり知られた曲ではないのですが、かつては鑑賞教材として取り上げられたこともあるそうです。

この曲の特徴は、

耳馴染みのよい曲であること。
分かりやすい情景音楽であること。
登場する人物の心情を分かりやすく表していること。

という、曲そのものの特徴に魅力があります。

また、

学校生活からの延長で情景が想像できること。

という側面も見逃せません。

さらに、高学年であれば、

ソ連という国特有の文化あったこと。

についても触れられるかもしれないと思います。

「何を言ってるんだ」と思われるでしょうが、とりあえずお聴きください。

耳馴染みのよい曲であること。
登場する人物の心情を分かりやすく表していること。
順番はずれますが、まずはこの2つ。
聴いてすぐに分かるとおり、楽しい曲です。
それもそのはず、この曲は、子どもたちが冬のキャンプに出発する情景を表しているのです。
これから訪れるであろう楽しい時間にわくわくする気持ちがメロディに溢れています。

分かりやすい情景音楽であること。
さて、子どもたちは、ある乗り物に乗って出かけます。その乗り物は何でしょう?
と、問いかけるのもよいかもしれません。
答えは、ほぼ全編にわたって刻まれる超高速リズム、
「タッタッタッタッ、タッタッタッタッ、タッタッタッタッ、タッタッタッタッ」
あるいは、
「タッタッタッタッ、タッタッタッタッ、タッタカタッタッ、タッタカタッタッ」
によって表されています。そう、列車です。現代の子どもたちには電車でよいと思います。
時々聞こえてくるのは汽笛でしょうか。
乗り物が分かりやすく表されています。

学校生活からの延長で情景が想像できること。
特に高学年の児童であれば、修学旅行に行くでしょう。
遠足でも社会科見学でも構いません。
出発するときのわくわくした気持ちが表れているこの曲は、学校生活になぞらえることが容易ではないかと思います。

ソ連という国特有の文化があったこと。
ところで、この曲が作られた当時、舞台となる国は「ソ連」でした。
ソ連には「ピオネール」という子どもの団体が組織されていて、この曲はその団体で行われていた冬のキャンプを描写した作品です。
そこまで子どもに語る必要はないかもしれませんが、学校単位ではないということは知らせてもよいかもしれません。
学校単位でない分、響きが新鮮に感じられるのではないでしょうか。

「ピオネール」はソ連時代に存在した「共産主義少年団」のことで、各地から選ばれし子どもたちだけが所属できる栄誉ある団体でした。
レクリエーションの機会を提供するとともに共産主義イデオロギーの啓蒙も目的とされていたことは容易に想像できます。
ただ、ロシアの人々が今でもピオネールの日を定め、当時を懐かしむ行事が開かれているところを見ると、イデオロギーを抜きにしても心温まる団体ではあったのでしょう。

5つ目のポイントは、特に授業で扱う必要はないのかなと思いますが、参考までに書いてみました。

プロコフィエフは帝政時代のロシアに生まれ、少年の頃から才能を開花させた作曲家です。ロシアを出てアメリカやヨーロッパで成功を収め、結婚して家庭を築きますが、スターリンの時代に日本を経てソ連に戻り、有名なジダーノフ批判に晒されます。批判をかいくぐって創作を続け、スターリンと同じ日にこの世を去りました。

「冬のかがり火」は、8曲からなる朗読、児童合唱、管弦楽のための組曲です。途中、5曲目だけに児童合唱が入ります。ジダーノフ批判に晒されていた時期に作曲されており、当局の批判をかわすため、大規模でしかも分かりやすい曲に仕上がっています。ピオネールの子どもたちが集まって列車に乗り、冬のキャンプを楽しんだあと再び列車に乗って帰って来るまでが、終始楽しい音楽で綴られます。中でも第1曲「出発」は有名で、旅の始まりに相応しいわくわく感が印象に残る作品です。

少しでも参考にしていただけたら嬉しいです。

以上、ムジークでした。

組曲全体を聴きたい、という方はこちらで。

第1曲 「出発」
第2曲 「窓の外の雪」
第3曲 「氷上のワルツ」
第4曲 「かがり火」
第5曲 「ピオネールの集い」
第6曲 「冬の夜」
第7曲 「行進曲」
第8曲 「帰還」

という構成になっています。

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