セントポール組曲 第4楽章

学習の音楽

こんにちは。ムジークです。

今回は、音楽の時間に聴く鑑賞教材を提案します。

教科書の鑑賞教材そのままでももちろん価値がありますが、もし自分で選ぶならと考えていきたいと思います。

今回わたしが提案するのは、こちら。

ホルスト作曲 「セントポール組曲」から第4楽章

曲を聴いていただく前に、この曲がどうして鑑賞教材に向いているか、ポイントを挙げます。

弦楽合奏であること。
最初から最後まで同じメロディの繰り返しであること。
対旋律が分かりやすく出てくること。
1拍目に強拍がくる分かりやすい4拍子であること。
「学校の先生としてのホルスト」という視点。
「民謡収集家としてのホルスト」という視点。
吹奏楽のための組曲第2番」からの転用。

特に❷~❹は、一度聴いていただければすぐに実感いただけると思います。

 ホルストは、19世紀末から20世紀初めにかけて活躍したイギリスの作曲家です。トロンボーン奏者としてキャリアをスタートさせ、音楽教師として学校に勤務しながら作曲活動を行いました。代表作に「惑星」という大作があります。

 「セントポール組曲」は、音楽教員として勤務していたセントポール女学院のために作曲された15分ほどの組曲です。女学院の子どもたちが演奏することを念頭に書かれました。後にこの曲を作曲者自身で管弦楽用に編曲しています。

それでは、鑑賞教材としてのポイントについて少しだけ見ていきます。

弦楽合奏であること。
 楽器編成が簡易な弦楽合奏であることで、弦楽器の説明ができます。児童に映像を見せることでより理解が深まるでしょう。

最初から最後まで同じメロディの繰り返しであること。
 驚くべきことに、この楽章は、一貫して1つのメロディが繰り返され、素朴な対旋律が絡むという平易な構成でできています。楽器の移り変わりに気付かせるのもよいでしょうし、メロディが何回繰り返されるのかを数えても学習として楽しいでしょう。

対旋律が分かりやすく出てくること。
 複雑な対旋律ではなく、非常に分かりやすいメロディの対旋律が出てきます。対旋律、という概念を児童に伝えるためには優れた鑑賞教材と言えます。

1拍目に強拍がくる分かりやすい4拍子であること。
 主旋律は、常に1拍目が強拍となり、4拍子が分かりやすく理解できるでしょう。1拍目と他の拍で違う動きを取り入れて体を動かすのもよいでしょう。

「学校の先生としてのホルスト」という視点。
 ホルストは、30年以上にわたってセントポール女学院の音楽教員であり続けました。その傍ら作曲をすることに苦労もあったでしょうが、一方、子どもたちとの関わりが創作意欲を喚起させたという点も見逃せません。

「民謡収集家としてのホルスト」という視点。
 ホルストはまた、優れた民謡収集家でもありました。この曲の対旋律に使われたメロディも「グリーンスリーブス」というイングランド民謡です。民謡収集家としてのホルストの興味はイングランドにとどまらず、当時としては珍しく遠くインドにも及びました。

吹奏楽のための組曲第2番」からの転用。
 さて、この曲はもともと「吹奏楽のための組曲第2番」という曲の第4楽章を弦楽合奏用に編曲して転用したものです。順序が逆になってしまいますが、余裕があれば原曲も聴かせることで吹奏楽器への興味も喚起されることでしょう。

 以上、ポイントを挙げてきましたが、何より楽しい曲であることが一番です。

 鑑賞教材選びの参考になりましたら幸いです。

 本日も最後までお読みいただきありがとうございました。

 以上、ムジークでした。

 

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